屋根の葺き替えに補助金は利用できる?条件や流れ・注意点を解説
2025.08.05 (Tue) 更新
屋根の葺き替え工事とは既存の屋根材を撤去し、新しく設置することです。
工事費用は決して安くないため、補助金の利用を考えている方もいるのではないでしょうか。
補助金は国が行っているほか、地方自治体が行っている制度もあります。
それぞれ補助率や申請方法、必要書類などが異なるため、補助金を利用する前に調べておくことが大切です。
本記事では、屋根の葺き替え工事で利用できる可能性のある補助金を紹介します。
補助金を利用する際の条件や流れ、注意点も解説しているため、参考にしてください。
【全国】屋根の葺き替え工事に利用できる可能性のある補助金
屋根の葺き替え工事に利用できる可能性のある補助金は下記のとおりです。
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
補助金制度によって内容や補助率などが異なるため、詳しく解説します。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、国が支援する補助金制度です。
住宅の寿命延長や省エネルギー性能の向上を目的とした改修に対して、補助金を受け取れます。
屋根の耐震性強化のため、屋根材を軽量化する工事が補助対象に含まれる場合があります。
補助金額は下記のとおりです。
・補助割合:工事費の1/3
・通常の補助上限額:1戸あたり最大80万円
・長期優良住宅(増改築)に認定された場合の補助上限額:160万円
さらに、以下に該当する場合は上限額にプラス50万円の加算があります。
・三世代同居を目的とした間取り変更など
・若者世帯、子育て世帯によるリフォーム
・中古住宅を購入しリフォームするケース
第Ⅰ期の交付申請は令和7年9月30日までです。
参考:事業概要 | 令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業
建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
「建築物耐震改修事業」は住宅・建築物ストックの最低限の安全性確保を総合的かつ、効率的に促進することを目的とした制度です。
住宅・建築物の耐震性などの向上に対して支援を行っています。
民間業者への直接補助ではなく、地方公共団体を通じた間接補助のため、お住まいの地域によって実施しているかどうかが異なります。
補助の対象は2パターンあり、それぞれ補助の限度額が異なります。
【個別支援】
・耐震改修の補助限度額(国+地方):97.86万円/戸
・多雪区域の場合:117.32万円/戸
【パッケージ支援(総合支援メニュー)】
・密集市街地等(防火改修含む):175万円
・多雪区域:140万円
・その他:115万円
個別支援はマンションを含むすべての住宅、パッケージ支援はマンションを除く住宅が対象です。
パッケージ支援の交付額は補助対象工事費の8割を限度としています。
参考:建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
【福岡県】屋根の葺き替え工事で利用できる可能性のある補助金
福岡県で屋根の葺き替え工事を行うときに、利用できる可能性のある補助金制度は主に2つです。
・福岡県こどもリノベ補助金
・福岡市木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業
それぞれ詳しく解説します。
福岡県こどもリノベ補助金
福岡県が実施する、若年層や子育て世帯向けのリフォーム補助制度です。
子育て世帯や若年夫婦の住宅改修費用の一部を支援しています。
【対象世帯の定義】
・若年世帯:令和7年4月1日時点で夫婦の年齢合計が80歳以下
・子育て世帯:同日で18歳未満の子と同居、または妊娠中
婚姻届未提出のカップルや事実婚でも、対象となる可能性があります。
【対象住宅】
・流通型住宅:中古住宅を購入し住まいの健康診断を受診したもの
・持家型住宅:親世帯の持ち家に同居するための改修
補助金額は工事費の1/3以内で50万円が上限です。
申請期限は令和8年1月下旬までですが、予算上限に達し次第終了となる場合があります。
参考:福岡県こどもリノベ補助金
福岡市木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業
福岡市が実施する、耐震性能を向上させる工事への補助制度です。
屋根の軽量化といった耐震改修工事に対して、補助金を受け取れます。
対象となる住宅の主な条件は下記のとおりです。
・昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた木造一戸建て住宅
・階数が2階建て以下
・耐震工事後に建物全体または1階の上部構造評点が1.0以上になること
補助金額は工事費の最大80%で、1戸あたりの上限は150万円です。
屋根の葺き替え工事で補助金を利用するときの主な条件
屋根の葺き替え工事で補助金を利用するときの主な条件は次のとおりです。
・税金の滞納や未納がない
・居住する住宅で工事を行う
・旧耐震基準で建てられている
・国や自治体が指定した業者に依頼する
・上部構造評点について、住宅全体が1.0以上または1階部分が1.0以上になるよう工事を行う
多くの公的補助金では、申請者と対象住宅に税金の滞納や未納がないことを前提条件としています。
滞納があると申請が却下される可能性が高く、補助金の利用ができません。
耐震改修に関する補助金制度の場合は、旧耐震基準(昭和56年5月以前)で建築された住宅が対象となるケースがほとんどです。
福岡市で実施している福岡市木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業でも「昭和56年以前」と、定められています。
さらに、耐震補助条件では「上部構造評点が1.0以上に改善」または「1階部分が1.0以上」などの条件が求められます。
どの補助金制度を利用するかによって条件が異なるため、申請前に確認しておくことが大切です。
屋根の葺き替えで補助金を利用するときの流れ
屋根の葺き替えで補助金を利用するときの主な流れは次のとおりです。
・屋根の葺き替えに利用できる補助金制度を調べる
・必要書類を準備する
・補助金制度の内容に沿って屋根修理する
・修理後に調査員の現地確認を受ける
・補助金を受け取る
まずは国や自治体の補助制度を調べて、自宅の工事が対象かどうかの確認が必要です。
利用する制度が決まったら、申請に必要な書類(申請書・工事見積書・図面など)を用意します。
着工前に補助金の申請を済ませ、制度の条件に沿った形で屋根の工事を実施します。
工事が終わったら、自治体や国の担当者による現地確認や完了検査を受けることが一般的です。
手続きがすべて完了し、審査を通過すれば補助金が交付されます。
手続きには数週間〜数か月かかることもあるため、早めの準備が重要です。
屋根の葺き替えで補助金を利用するときの注意点
屋根の葺き替えで補助金を利用するときには注意点があります。
・着工前に補助金の申請を行う
・余裕をもって申請準備をする
・補助金を併用できるかは制度によって異なる
場合によっては補助金の利用ができなくなる可能性があるため、参考にしてください。
着工前に補助金の申請を行う
補助金は「交付決定通知」が出た後でないと、工事に着手できない制度がほとんどです。
先に着工してしまうと補助の対象外になる可能性があります。
たとえば、福岡市木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業では「工事請負契約は、福岡市からの補助金交付決定通知後に行うこと」と記載されています。
補助金の申請は契約・着工前に申請を完了しておくことが必須です。
余裕をもって申請準備をする
申請には見積書や設計図、耐震診断報告書など多くの資料が必要です。
自治体によっては受付期間や予算枠が定められていて、先着順のケースもあります。
必要書類の不備があると受理されず、補助金が受け取れません。
補助金制度によっては予算が上限に達した場合、期限内であっても受付を終了する可能性があります。
余裕をもって動いておくと安心です。
補助金を併用できるかは制度によって異なる
補助金が併用できるかどうかは制度によって異なります。
国の補助金と地方自治体が実施する補助金制度は、原則として併用可能なケースが多い傾向です。
そのほか、工事の目的や内容が異なっていたり、資金の出所が違っていたりする場合は併用できる可能性が高いといえます。
たとえば長期優良住宅化リフォーム推進事業は、地方自治体の単独費による補助金制度であれば、併用できます。
補助制度ごとに異なる条件があるため、事前に確認しておくことが大切です。
申請に必要な書類を用意しておく
補助金の申請時にはさまざまな書類が必要です。
例として、福岡県こどもリノベ補助金では次のような書類の提出が求められます。
・工事見積書
・付近見取図
・現況写真
・設計図面
・建物登記簿謄本等の写し など
慣れない書類を書いたり用意したりするのは時間がかかります。
もし、不備や記載ミスがあれば申請が遅れる可能性もあるため、業者と連携しながら早めの準備を心がけてください。
補助金を利用した詐欺に注意する
補助金制度を悪用する業者には要注意です。
「補助金が出るからお得」と強調し、実際には相場以上の費用を請求する悪質業者が存在します。
補助金は申請すれば必ずもらえるわけではなく、審査によっては受け取れない場合もあります。
「必ず補助金が出る」「全額補助される」といった、甘い言葉を使う業者との契約はおすすめできません。
補助制度の内容や申請条件を正確に理解している業者に相談すると安心です。
屋根の葺き替え工事にかかる費用相場
屋根の葺き替え工事にかかる費用相場は次のとおりです。
・30坪の住宅:100〜200万円
・40坪の住宅:140~250万円
上記以外にシーリング費用や付帯塗装、消費税や諸経費が必要です。
住宅や劣化状況によっても費用が異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
屋根の葺き替え工事はうまく補助金を利用しよう
屋根の葺き替え工事は、撤去・処分費用が必要になり高額になる傾向です。
条件を満たせば補助金を活用できる可能性があるため、うまく利用すると工事費用を抑えられます。
利用を検討している場合は、国や自治体の補助金制度についてあらかじめ確認しておく必要があります。
さらに、申請には期限があるほか書類の準備も必要になるため、余裕をもって申し込むことが大切です。