雨漏り修理に補助金・助成金は利用できる?注意点や工事費用を解説
2025.08.13 (Wed) 更新
雨漏りの修理は、原因や工事の規模によって費用が高額になることがあります。
修理費用を少しでも抑えるために補助金・助成金を利用したいと考えている方も多いでしょう。
雨漏り修理に使える補助金・助成金制度は、国や地方自治体が実施しています。
制度によって受けられる条件や補助率などが異なるため、補助金を利用するときは事前に調べておくことが大切です。
本記事では、雨漏りの修理で利用できる可能性のある補助金・助成金と注意点、申請の流れを解説します。
補助金・助成金以外で、雨漏り修理費用を安く抑えられる方法も紹介しているため、参考にしてください。
【全国】雨漏り修理に利用できる可能性のある補助金・助成金
雨漏り修理に利用できる可能性のある、全国規模の補助金・助成金制度を紹介します。
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
・子育てエコホーム支援事業
それぞれ詳しく解説します。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅の性能向上や劣化対策を目的とした制度です。
工事前の現況調査で雨漏りが見つかった場合には、雨漏り修理を含むリフォーム費用において補助金が受け取れます。
補助額は工事費の1/3で、通常は最大80万円です。
長期優良住宅(増改築)に認定されると補助上限は160万円まで引き上げられます。
さらに、以下に該当する場合は上限額にプラスして50万円の加算があります。
・三世代同居を目的とした間取り変更など
・若者世帯・子育て世帯によるリフォーム
・中古住宅を購入しリフォームするケース
令和7年(2025年)9月30日が第Ⅰ期の交付申請締切日のため、早めに申請してください。
建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
建築物耐震改修事業は住宅の安全性確保を目的とし、防災性向上のための改修に対して支援を行っている制度です。
耐震改修とあわせて屋根や外壁の改修が必要な場合、雨漏り対策工事も補助対象に含まれる可能性があります。
支援は地方公共団体を通じて行われ、対象地域や実施内容は自治体ごとに異なります。
個別支援ではマンションを含む全住宅が対象で、補助限度額は最大97.86万円(多雪区域は117.32万円)です。
パッケージ支援(総合支援メニュー)ではマンションを除く住宅が対象で、補助限度額は下記のとおりです。
・密集市街地等(防火改修含む):175万円
・多雪区域:140万円
・その他:115万円
パッケージ支援の補助対象工事費は8割が上限と定められています。
参考:建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯に対し、住宅の省エネ改修などの支援を行う事業です。
2050年のカーボンニュートラルの実現を図ることを目的としています。
屋根や天井、外壁の断熱改修など省エネ性能向上を目的としたリフォーム工事の一環として、雨漏り修理を行う場合に補助金を受け取れる可能性があります。
以下の必須工事のいずれかを含むものが補助の対象です。
・開口部(窓やドア)の断熱改修
・外壁、屋根、天井、床の断熱改修
・エコ住宅設備の設置
上記に付随して屋根や外壁の改修を行う際、雨漏り修理が含まれていれば補助対象となる場合があります。
補助額は対象工事内容ごとの補助額の合計で、原則1戸あたり20万円です。
子育て世帯や若者夫婦世帯は上限の引き上げが可能です。
参考:子育てエコホーム支援事業
【福岡県】雨漏り修理に利用できる可能性のある補助金・助成金
福岡県で雨漏り修理に利用できる可能性のある補助金や助成金を紹介します。
・福岡県こどもリノベ補助金
・住宅の耐震改修工事費補助事業
福岡県にお住まいの方は、ぜひ参考にしてください。
福岡県こどもリノベ補助金
福岡県が独自に実施している福岡県こどもリノベ補助金は、若者・子育て世帯向けの住宅リノベ支援制度です。
安全性や居住性の向上を目的としたリノベーション工事に対し、補助金が交付されます。
対象となる世帯は以下のとおりです。
・若年世帯:令和7年4月1日時点で夫婦の合計年齢が80歳以下
・子育て世帯:同日現在で18歳未満の子どもと同居、または申請時点で妊娠中
結婚予定のカップルや事実婚関係でも条件を満たせば申請可能です。
対象住宅は2種類あります。
・流通型:若年、子育て世帯が取得した中古住宅で、住まいの健康診断を実施済みのもの
・持家型:親名義の住宅に改修後同居する場合に対象となる改修工事
リフォーム費用の1/3まで補助され、上限は50万円です。
受付は令和8年1月下旬までですが、予算上限に達すると受付を終了する可能性があります。
参考:福岡県こどもリノベ補助金
住宅の耐震改修工事費補助事業
住宅の耐震改修工事費補助事業は、福岡市が実施する木造住宅の耐震補強工事への助成制度です。
屋根の軽量化や耐震性を高める構造補強工事などが対象となります。
補助対象となる住宅の条件は次のとおりです。
・昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた木造戸建て
・建物が2階建て以下であること
・耐震改修により建物全体または1階の上部構造評点が1.0以上となること
補助率は最大80%、1戸あたりの上限は150万円です。
雨漏り修理で補助金・助成金を利用するときの注意点
雨漏り修理で補助金・助成金を利用するときには注意点があります。
・着工前に申請する
・補助金の決定までに時間がかかる
・施工業者が決められている場合がある
・補助金や助成金を利用した悪質業者に注意する
それぞれ詳しく解説します。
着工前に申請する
多くの補助金制度では工事がすでに始まっている、または完了している場合、補助の対象外となります。
雨漏りを発見して慌てて業者に修理を依頼してしまい、あとから補助金の存在を知ったとしても、申請は受理されない可能性が高いといえます。
補助金を利用して雨漏り修理を行う際は、必ず着工前に申請手続きを完了させることが大切です。
補助金の決定までに時間がかかる
補助金は申請してからすぐに交付されるわけではありません。
申請書類から審査し、必要に応じて現地調査などを行う必要があるため、即日の決定は困難です。
雨漏りは放置すると住宅全体に影響を及ぼす可能性があります。
補助金の交付を待っている間に悪化するケースもゼロではありません。
緊急性の高い雨漏りの場合は補助金の利用を待たずに、修理を行う必要があります。
施工業者が決められている場合がある
利用する補助金制度によっては、工事を依頼できる施工業者が指定されている場合があります。
たとえば「市内の業者であること」「自治体が指定する登録業者」といったように、条件を設けているケースです。
普段から依頼している業者では補助金の利用ができない場合があるため、注意する必要があります。
補助金の利用を検討する際は、施工業者の指定や条件がないかを事前に確認しておくのがおすすめです。
補助金や助成金を利用した悪質業者に注意する
巧みなセールストークで、高額な契約を迫る悪質な業者には十分注意してください。
「今契約すれば補助金で自己負担がほぼゼロになる」「申請は全て代行する」といった甘い言葉で、不要な工事や高額な費用を求める悪質業者が存在しています。
補助金は100%利用できるとは限りません。
信頼できる業者へ依頼したり、自治体の窓口に直接相談したりして、慎重に契約を進めることが重要です。
雨漏り修理で補助金・助成金を利用するときの流れ
雨漏り修理で補助金・助成金を利用するときの一般的な流れは以下のとおりです。
・雨漏り修理で利用できる補助金や助成金制度を調べる
・必要書類を準備する
・補助金制度の内容に沿って雨漏り修理する
・修理後に調査員の現地確認を受ける
・補助金を受け取る
制度によっては、雨漏り修理単体では対象外の場合もありますが、断熱や耐震などと組み合わせることで利用できる可能性があります。
交付決定前に着工してしまうと補助金が無効になるケースがほとんどです。
着工前に必ず申請を済ませる必要があります。
雨漏り修理の費用相場
雨漏り修理の費用相場は次のとおりです。
・外壁の雨漏り修理:2~300万円
・天井の雨漏り修理:3~20万円
・ベランダ(バルコニー)の雨漏り修理:3~25万円
・窓枠・天窓の雨漏り修理:3~25万円
・屋根の雨漏り修理:20~150万円
上記以外にもシーリング費用や付帯塗装、消費税や諸経費が必要になる可能性があります。
住宅や劣化状況によっても異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
補助金・助成金以外で雨漏り修理費用を安く抑える方法
補助金・助成金以外で雨漏り修理費用を安く抑える方法を紹介します。
・火災保険を利用する
・住宅瑕疵担保保険制度を利用する
・減税制度を利用する
できるだけ雨漏り修理費用を抑えたい方は、参考にしてください。
火災保険を利用する
雨漏りの原因が自然災害の場合、加入している火災保険で修理費用が補償される可能性があります。
火災保険には「風災・雹災(ひょうさい)・雪災」といった自然災害による損害を補償する特約がある場合が一般的です。
雨漏りが上記のような災害によって引き起こされたときには、保険が適用されます。
台風で屋根瓦が飛ばされた、大雪の重みで雨樋が破損したなどが原因の雨漏りには、火災保険を利用した修理が可能です。
ただし、経年劣化による雨漏りは対象外のため注意してください。
自然災害が原因の可能性がある場合は、保険会社に連絡して相談してみるのがおすすめです。
住宅瑕疵担保保険制度を利用する
新築から10年以内の住宅であれば、住宅瑕疵(かし)担保責任保険を利用して無償で雨漏り修理ができる場合があります。
住宅瑕疵担保保険制度は、新築住宅の雨水の浸入を防止する部分に施工ミスなどがあった際、補修費用を保証する制度です。
住宅業者が倒産していても、保険法人から直接補修費用が支払われます。
あくまで新築後10年以内で、施工不良などが原因の場合に限られます。
築10年以内の比較的新しい家で雨漏りが起きた場合は、住宅を建てた業者や保険会社へ相談してみてください。
減税制度を利用する
雨漏り修理とあわせて、特定の性能向上リフォームを行うと、所得税などが控除される減税制度の利用が可能です。
国は住宅の質を高めるため、省エネリフォームや耐震リフォームなどに対して、税金の優遇措置を設けています。
雨漏り修理単体では対象外でも、上記のような工事と一緒に行うことで、工事費全体が控除の対象となる場合があります。
大規模な修繕を検討しているなら、雨漏り修理と同時に減税対象となるリフォームができないか、業者へ相談してみるのがおすすめです。
雨漏り修理は補助金・助成金をうまく活用して工事費用を抑えよう
雨漏りの修理は、国や自治体が設けている条件を満たせば、補助金・助成金を活用できる可能性があります。
うまく利用すれば工事費用を抑えられるため、国が実施している制度のほか、お住まいの自治体にある補助金制度を調べてみるのがおすすめです。
申請には受付期間が定められていたり、必要な書類が複数あったりするため、スケジュールに余裕を持って手続きを進めることが大切です。
補助金・助成金以外にも、火災保険や住宅瑕疵担保保険制度などを利用すると、雨漏り修理費用を抑えられる場合があります。
経済的な負担の軽減につながるため、一度業者や保険会社に相談してみてください。