屋根瓦の修理で補助金・助成金は使える?利用時の流れや注意点を解説
2025.10.05 (Sun) 更新
屋根瓦の修理を検討した際、工事費用を少しでも抑えるために補助金・助成金を利用したい方もいるのではないでしょうか。
国や自治体が実施する補助金・助成金には、屋根瓦の修理が対象のものがあり、自己負担額を軽減できる可能性があります。
ただし、制度には耐震化や省エネ化といった目的があり、利用するには一定の条件を満たさなければなりません。
場合によっては補助金・助成金を受け取れなくなるかもしれないため、制度について理解しておくことが大切です。
本記事では、屋根瓦の修理で利用できる補助金・助成金の種類や申請の流れ、注意点を解説します。
正しく補助金・助成金制度を活用するためにも、参考にしてください。
屋根瓦の修理に補助金・助成金は利用できる可能性がある
屋根瓦の修理には、国や自治体が実施する補助金・助成金制度を利用できる可能性があります。
多くの自治体が、住宅の安全性向上や省エネ化、長寿命化を目的としたリフォームを支援しています。
具体的には、重い瓦屋根を軽い屋根材に葺き替える耐震改修工事などが、補助金の対象となることが多い傾向です。
屋根瓦の修理を検討する際は、国やお住まいの自治体で利用できる制度がないかの確認がおすすめです。
国土交通省が行っている屋根瓦の修理に利用できる補助金・助成金制度
国土交通省が行っている屋根瓦の修理に利用できる主な補助金・助成金制度は下記のとおりです。
・屋根の耐風診断及び耐風改修に関する事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
それぞれ詳しく解説します。
屋根の耐風診断及び耐風改修に関する事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
屋根の耐風診断及び耐風改修に関する事業は、強風対策として屋根の耐風改修などを行う際に利用できる、国の補助制度です。
専門家に瓦屋根の耐風性能の診断をしてもらったり、脱落のおそれがある瓦屋根の改修工事をしたりするときに、補助金を受け取れる場合があります。
補助金額は耐風診断と耐風改修のどちらを行うかによって異なります。
・屋根の耐風診断:診断費の2/3で最大2.1万円/棟
・屋根の耐風改修:工事費の23%で最大55.2万円/棟
耐風診断では瓦屋根の緊結方法などを診断し、耐風改修では改正基準に適合しない瓦屋根の葺き替え工事を行います。
屋根の耐風診断及び耐風改修に関する事業は、民間業者への直接補助ではなく、地方公共団体を通じた間接補助です。
対象地域や実施内容は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体で確認する必要があります。
参考:瓦屋根の改修工事のススメ
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅全体の性能を向上させる大規模なリフォームの一環として、屋根瓦の防災性向上工事に活用できる補助制度です。
地震災害や台風(風災害)への備えといった、防災性・レジリエンス性の向上を図る改修工事が対象になります。
具体的な工事内容は瓦の交換工事や下地の補強工事などで、補助上限額は15 万円/戸です。
補助を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
・リフォーム工事実施後の住宅が、本事業が定めている住宅性能にかかる評価基準に適合する
・リフォーム工事着手前にインスペクション(現況検査)を実施する
・維持保全計画とリフォーム工事の履歴を作成する
詳しくは公式サイトを確認し、余裕をもって申請してください。
福岡県で行っている屋根瓦の修理に利用できる補助金・助成金制度
福岡県で行っている屋根瓦の修理に利用できる主な補助金・助成金制度は次のとおりです。
・木造戸建住宅耐震改修工事費補助事
・福岡こどもリノベ補助金
福岡県で屋根瓦の修理を考えている方は、参考にしてください。
木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業
福岡市が行っている木造住宅耐震改修工事費補助事業は、木造住宅の耐震性能を高める工事を支援する制度です。
対象となる工事には、瓦屋根の軽量化や耐震性を強化する補強工事などが含まれます。
補助を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
・昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた木造戸建住宅であること
・2階建て以下の建物であること
・耐震改修後に、建物全体または1階部分の上部構造評点が1.0以上になること
補助金は工事費の最大80%まで支給され、上限額は150万円/戸です。
瓦屋根の修理や軽量化リフォームを検討している場合におすすめの補助事業です。
福岡こどもリノベ補助金
福岡県内の子育て世帯が行う住宅リフォームにおいて、屋根の断熱性や耐久性向上などにかかる工事費用の一部を補助する制度です。
対象となる世帯は以下のとおりです。
・若年世帯:令和7年4月1日時点で夫婦の合計年齢が80歳以下
・子育て世帯:同日現在で18歳未満の子どもと同居、または申請時点で妊娠中
結婚予定のカップルや事実婚関係でも条件を満たせば申請できます。
対象住宅は次の2種類になります。
・流通型:若年、子育て世帯が取得した中古住宅で、住まいの健康診断を実施済みのもの
・持家型:親名義の住宅に改修後同居する場合に対象となる改修工事
屋根の耐久性や防水性をより向上させる改修工事が補助の対象となります。
補助される額はリフォーム費用の1/3までとなり、上限は50万円です。
受付は令和8年1月下旬までですが、上限に達すると受付を終了する可能性があるので、早めの申請がおすすめです。
参考:福岡こどもリノベ補助金
屋根瓦の修理に補助金・助成金を利用する際の主な条件
屋根瓦の修理に補助金・助成金を利用するには主な条件があります。
・税金の滞納がないか
・反社会的勢力との関係がないか
・居住用の住宅か
・自治体が認める市町村内に存在するか
・旧耐震基準で建てられたか
補助金・助成金制度によって定められる条件の内容は異なります。
申請を検討する際には募集要項で必ず確認してください。
屋根瓦の修理に補助金・助成金を利用する際の流れ
屋根瓦の修理に補助金・助成金を利用する際の一般的な流れは下記のとおりです。
・利用できる補助金、助成金制度を探す
・申請に必要な書類を準備する
・補助金、助成金の申請を行う
・内容に沿って屋根瓦の修理を始める
・施工が完了したら補助金を受け取る
ただし、補助金や助成金は申請しても必ず利用できるとは限りません。
流れを正しく理解するとともに、交付が決定してから修理を始めるのがおすすめです。
屋根瓦の修理に補助金・助成金を利用する際の注意点
屋根瓦の修理に補助金・助成金を利用する際には注意点があります。
・申請は工事前に行う
・余裕をもって申請準備する
・悪質業者に注意する
それぞれ詳しく解説します。
申請は工事前に行う
補助金や助成金の申請は工事契約や着工の前に行うことが大切です。
ほとんどの制度は事前申請によって、自治体から交付の決定通知を受けた工事のみを補助対象としています。
多くの場合、工事後の申請は認められていません。
工事が完了してから制度の存在を知っても、さかのぼって申請するのは不可能です。
まず申請し、交付決定後に着工する流れを把握しておく必要があります。
余裕をもって申請準備する
補助金や助成金の申請準備は、時間に十分な余裕をもって行ってください。
申請には見積書や図面、現況写真など業者に作成してもらう書類が多くあります。
準備に時間がかかるうえ、制度には募集期間や予算上限が定められている場合がほとんどです。
年度の途中でも予算がなくなり次第、受付を終了する制度もあります。
利用したい制度が見つかったら、募集要項を確認しすぐに準備に取りかかることが大切です。
悪質業者に注意する
悪質業者は補助金・助成金制度を悪用し、不要な工事をすすめたり、高額な契約を結ばせようとしたりします。
たとえば、「補助金の申請を代行する」と言って、法外な手数料を請求する業者も存在します。
思わぬトラブルに巻き込まれたり、多額の費用がかかったりする可能性があり危険です。
補助金に関する相談はまず自治体の担当窓口に行い、業者の甘い言葉を鵜呑みにしないことが大切です。
屋根瓦を修理する際の費用相場
屋根瓦を修理する際の費用相場は施工方法によって異なります。
・部分修理
・葺き直し
・葺き替え
それぞれ詳しく解説するため、住宅の屋根に合った修理をするためにも参考にしてください。
部分修理
屋根瓦の損傷が一部分に限られる場合に対象となるのが部分修理です。
不具合のある箇所だけ修理するため、工事範囲が狭くコストと時間を最小限に抑えられます。
主な屋根瓦の修理方法と費用は次のとおりです。
・瓦の差し替え:1~20万円
・漆喰補修:4~30万円
・棟瓦の交換・積み直し:4~66万円
ただし、修理していない部分に負担がかかり、劣化が進行してしまうデメリットもあります。
部分修理を繰り返すうちに、気づけばトータルでの出費がかさみ、結局は全面的な改修工事が避けられなくなるケースも考えられます。
長期的な視点で見て部分修理を行うかどうか、業者と相談するのがおすすめです。
葺き直し
屋根材の瓦は良好でも、下地の防水機能に問題がある場合は葺き直しが適しています。
葺き直しは、既存の瓦を一旦すべて取り外し、下地にある防水シートなどを新しくしたうえで、再び同じ瓦を並べ直す工事です。
費用相場は30坪ほどの住宅で70〜180万円です。
葺き直しは、瓦を再利用することで材料費を節約しつつ、屋根の防水性能をリセットできます。
表面からは見えない下地の劣化が疑われる場合におすすめです。
葺き替え
屋根全体が寿命を迎えている場合は、屋根材と下地の両方を一新する葺き替えを行うのが一般的です。
既存の屋根を撤去して新しいものに取り替えるため、機能性や耐久性を回復できます。
主な屋根材ごとの葺き替え工事費用は下記のとおりです。
・瓦→瓦:90〜250万円
・瓦→スレート:70〜200万円
・瓦→アスファルトシングル:70〜230万円
・瓦→ガルバリウム:100〜220万円
雨漏りの再発リスクをなくし、住宅の価値を維持・向上させるために有効な工事です。
信頼できる屋根瓦の修理業者を選ぶコツ
信頼できる業者を選ぶには、実績や説明の丁寧さ、補助金の知識などから総合的に判断する必要があります。
屋根修理は専門性が高く、業者の技術力や誠実さによって仕上がりが大きく左右されます。
具体的には瓦屋根の修理実績が豊富か、補助金制度に詳しく申請サポートをしてくれるか、などを確認するのが重要です。
さらに、担当者との相性も業者選びには欠かせません。
不安なことや質問に対して親身に寄り添ってくれると、安心して工事を任せられます。
費用だけ見て契約するのではなく、さまざまな視点から信頼できる業者に修理を依頼してください。
屋根瓦の修理は補助金・助成金制度を確認してから業者へ依頼しよう
屋根瓦の修理には、ある程度の費用が必要です。
国や自治体が実施している補助金・助成金制度を利用できれば、経済的な負担を大きく軽減できる可能性があります。
耐震化や省エネ化など、自宅の屋根瓦修理が対象となる制度がないか調べるのがおすすめです。
補助金・助成金制度をうまく取り入れ、信頼できる専門業者に相談して適切な修理方法を検討する必要があります。