瓦屋根の棟の修理方法と費用を解説!気になる劣化サインも紹介
2025.12.05 (Fri) 更新

屋根の頂上にある棟は、雨水の浸入を防ぐ重要な部分です。
しかし、雨風の影響を受けやすいため劣化しやすく、放置すると雨漏りや瓦の崩落に直結する危険性があります。
いざ修理を考えたときに「どのような工事が必要で、費用はいくらかかるのか」と、具体的なイメージがわかない方も多いでしょう。
棟の修理は屋根の状態によって工事内容が大きく異なるため、あらかじめ修理方法ごとの費用相場を知っておくことが大切です。
本記事では、瓦屋根の棟の修理方法と費用を詳しく解説します。
修理を行うべき劣化サインや費用を抑えるためのポイントも紹介しているため、参考にしてください。
瓦屋根の棟の修理方法と費用

瓦屋根の棟は修理方法によって費用が異なります。
・棟瓦の交換、積み直し
・漆喰の補修
それぞれ詳しく解説します。
棟瓦の交換、積み直し
棟瓦の交換、積み直し費用は4〜66万円です。
棟瓦の交換や積み直しは、棟のずれや歪み、瓦の大きな破損が見られる場合に行う大規模な修理です。
一度既存の棟瓦を解体し、内部の土台を補修または新しく作り直したうえで、瓦を再び積み直します。
費用は修理範囲や使用する瓦の種類、屋根の形状によって大きく変動します。
漆喰の補修
漆喰補修の費用は4〜30万円です。
漆喰の補修は、棟瓦を固定している漆喰にひび割れや剥がれが見られる場合に必要な修理です。
瓦を固定する重要な役割を果たし、瓦と瓦の隙間を埋めて雨水の浸入を防いでいます。
軽度なひび割れであれば、既存の漆喰を取り除き、新しく詰め直すことでも対応できます。
棟瓦以外にも屋根が傷んでいる場合の修理方法と費用

棟瓦以外にも屋根が傷んでいる場合は以下のような修理を行います。
・葺き直し工事
・葺き替え工事
それぞれ施工方法と費用が異なるため、詳しく解説します。
葺き直し工事
屋根瓦の葺き直しの費用相場は、30坪ほどの住宅で70〜180万円です。
葺き直し工事は、既存の瓦を一度取り外し、その下にある防水シートや野地板などの下地材を修理・交換したあとに同じ瓦を再び設置します。
瓦自体の劣化は少ないものの、下地が寿命を迎えている場合におすすめの修理方法です。
瓦を再利用するため、葺き替えに比べて費用を抑えられるメリットがあります。
葺き替え工事
葺き替え工事は30坪ほどの住宅で100〜200万円が相場です。
葺き替えは既存の屋根材をすべて撤去し、下地から一新する大規模な工事です。
雨漏りが進行し、屋根の下地まで腐食してしまっている場合に行われます。
工事費用は高額になりますが、屋根の寿命を大幅に延ばし、住宅の資産価値の維持につながります。
スレート・金属屋根の棟の修理方法と費用

スレート屋根や金属屋根の頂上部には、棟瓦の代わりに棟板金という金属製の部材が設置されています。
経年劣化により固定している釘が浮いたり、板金自体がサビたりするため、適切な修理が欠かせません。
ゆるんでしまった棟の釘の打ち直しのみであれば、1.5〜20万円(足場代別)が費用相場です。
古い棟板金と、その下にある貫板(ぬきいた)と呼ばれる木材を新しいものに交換する際の費用相場は4〜20万円(足場代別)です。
屋根の状態に合わせて修理を行う必要があります。
瓦屋根の棟の修理を行うべきタイミングと劣化サイン

瓦屋根の棟の修理を行うタイミングは、棟瓦と棟板金によって異なります。
また、年数にかかわらず劣化が見られた場合は早めの対処が必要です。
棟瓦は20〜30年
棟瓦は、20〜30年を目安にメンテナンスを行うことで、棟の崩壊や大規模な雨漏りを未然に防げます。
漆喰や内部の葺き土は経年劣化により、固定力が弱まります。
漆喰のひび割れや剥がれなど軽微な劣化であれば、漆喰の詰め直しで対応可能です。
しかし、内部の葺き土の劣化が進み、瓦にずれや歪みが生じている場合は、棟全体を一度解体して積み直す工事が必要です。
瓦本体に問題がなくても内部の劣化が崩壊をまねくため、計画的にメンテナンスを行う必要があります。
棟板金は10〜15年
棟板金は、10〜15年がメンテナンスのタイミングです。
紫外線や雨風の影響で、板金を固定している釘が抜けたり、下地の貫板が腐食したりする場合があります。
釘のゆるみや抜けなど劣化が初期段階であれば、釘の打ち直しで補修可能です。
しかし、下地の貫板まで腐食が進行している場合は、固定力が著しく低下している可能性があり下地を含めた棟板金全体の交換が必要です。
台風などの強風で飛散するリスクを避けるためにも、定期的な点検と補修を行いましょう。
主な劣化サイン
瓦屋根の棟に以下のような劣化サインが見られる場合は、修理を行うタイミングといえます。
・瓦屋根がずれている
・瓦屋根にひび割れがある
・漆喰が剥がれている
・棟瓦が崩れている
棟瓦に見られる劣化のサインは、放置することで雨漏りや家屋の損傷につながります。
瓦屋根の小さなずれやひび割れであれば「まだ大丈夫」と感じるかもしれません。
しかし、気づいたときには劣化が進み重大な事故を引き起こす可能性があります。
上記のような劣化を見つけたら、速やかに専門業者による修理を行うことが大切です。
気になる劣化があれば、一度業者へ相談し点検してもらうと安心です。
瓦屋根の棟の修理費用を抑えるポイント

瓦屋根の棟の修理費用を抑えたいと考えるなら、以下のポイントを意識するのがおすすめです。
・自社施工の業者に依頼する
・火災保険を利用する
・補助金・助成金制度を利用する
それぞれ詳しく解説します。
自社施工の業者に依頼する
自社施工は営業から施工までを一貫して行う業者です。
下請け業者を使わないため、工事費に中間マージン(紹介料)が上乗せされず、修理費用を抑えられます。
大手リフォーム会社などに依頼した場合、実際の工事は下請け業者が行うことが一般的です。
間に下請け業者が入ると、中間マージンが見積もりに反映され高くなる傾向にあります。
一方、自社施工の業者は自社の職人が直接施工するため余計なコストがかからず、適正価格での工事が期待できます。
質の高い工事を適正価格で行うなら、自社施工を行う業者を選ぶのがおすすめです。
火災保険を利用する
台風や強風、大雪などの自然災害が原因で棟が破損した場合は、火災保険が適用される可能性があります。
多くの火災保険には、「風災・雪災・雹災(ひょうさい)」といった自然災害による損害を補償する特約が付帯しています。
うまく利用すれば自己負担額の軽減が可能です。
火災保険が適用となる可能性があるのは、「台風で棟瓦が飛ばされた」「大雪の重みで棟が歪んだ」などのケースが挙げられます。
自然災害による被害が疑われる際は、自身が加入している火災保険の契約内容を確認し、保険会社や専門業者に相談してください。
補助金・助成金制度を利用する
お住まいの地方自治体が設けている、住宅リフォームに関する補助金・助成金制度を活用するのも有効な手段のひとつです。
自治体によっては、住宅の改修工事に対する費用の一部を補助する制度を設けています。
たとえば、耐震性の向上を目的とした「屋根の軽量化」や、省エネ性能を高めるための「遮熱・断熱改修」などが補助金の対象となる可能性があります。
屋根の修理やリフォームを計画する際には、お住まいの市区町村に補助金制度がないか調べるのがおすすめです。
屋根の棟の種類

屋根の頂上部にある「棟」には、棟瓦と棟板金の2種類があります。
棟瓦は、日本瓦やセメント瓦といった瓦屋根に使用される棟専用の瓦のことです。
一方、棟板金はスレート屋根や金属屋根の頂上部に被せる金属製の部材をいいます。
内部にある貫板という下地木材に釘で固定されています。
屋根の棟は雨水の浸入を防ぎ、屋内の熱気や湿気を適度に逃す換気の役割を果たす部分で、なくてはならないものです。
しかし、雨風の影響を直接受ける部分で劣化しやすいため、定期的なメンテナンスと適切な補修が欠かせません。
瓦屋根の棟の修理は業者へ相談して適切に工事しよう

瓦屋根の棟にずれやひび割れといった劣化サインを見つけたら、必ず屋根修理の専門業者に相談して適切な工事を行うことが大切です。
軽微な劣化だからと放置すると結果的に雨漏りをまねく危険もあります。
気づいたときには劣化が進み、大規模工事となれば費用も高くなります。
屋根のプロに点検を依頼し、劣化状態に合わせて修理を行ってください。




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