スレート屋根は30年もつ?劣化サインや長持ちさせる方法を解説
2025.12.07 (Sun) 更新

現在のスレート屋根は、適切なメンテナンスを行えば15〜30年は維持できる屋根材です。
ただし、雨風や紫外線などの外敵ダメージを受けることから経年劣化は避けられません。
劣化の早期発見と補修を行い、屋根の寿命を延ばすためには定期点検と、適切な時期の塗り替えが必要です。
また、いつの住宅かによってスレート屋根の耐用年数が異なるため、どの世代に建てられたかを知っておくことが大切です。
本記事では、世代別にスレート屋根の耐用年数を紹介するとともに、30年維持させるためのメンテナンス方法や劣化のサインを解説します。
スレート屋根は30年維持できるのか不安、長く良好な状態を保ちたいと考える方は参考にしてください。
【世代別】スレート屋根の耐用年数

スレート屋根の耐用年数は世代によって異なります。
自宅の屋根がどの世代にあたるかを知っておくのがおすすめです。
第一世代|30〜40年
1990年代〜2000年代前半以前に製造された第一世代のスレート屋根は、30〜40年と非常に長い耐用年数をもちます。
住宅の強度と耐久性を高めるアスベスト(石綿)が含まれていることが理由のひとつです。
自宅が築30年以上経過していても、屋根に大きな損傷が見られない場合は第一世代スレート屋根の可能性があります。
メンテナンスの際にはアスベストの飛散リスクがあるため、法令に基づいた適切な処理が求められます。
第一世代は長寿命ですが、メンテナンスには専門的な知識が必要不可欠です。
第二世代|15〜25年
1990年代後半〜2000年代前半にあたる第二世代のスレート屋根は、耐用年数が15〜25年と第一世代より短めです。
第二世代はアスベストの使用が全面的に禁止されたあと、代替品として開発された初期のノンアスベスト製品です。
製品によっては屋根材そのものがもろく、早く劣化してしまう場合もあります。
たとえば、10年程度で屋根材に多数のひび割れや剥がれが見られたら、第二世代のスレート屋根かもしれません。
屋根の状態を注意深く見極め、早めの対策を行うことが大切です。
第三世代|15〜30年
2000年代後半以降〜現在まで使われているスレート屋根の耐用年数は、一般的に15〜30年です。
現在のノンアスベストスレートは第二世代と比べて品質、耐久性ともに改善されています。
価格の安さやデザインの豊富さから多くの住宅で採用されています。
ただしスレート屋根は、セメントを主成分とした薄い板状の屋根材です。
軽量で耐震性に優れる一方、塗装による防水機能の維持が欠かせません。
スレート屋根が30年経つと現れる劣化サイン

スレート屋根が30年経つと、さまざまな劣化サインが現れます。
放置すると住宅全体に影響を及ぼす危険もあるため、詳しく解説します。
カビやコケが発生している
30年経つと屋根にカビやコケが発生し防水機能が低下します。
スレート屋根の表面は塗膜で保護されていますが、経年劣化で塗膜が剥がれると、屋根材自体が水分を吸収しやすくなるからです。
日当たりの悪い北側の屋根にはコケが生えやすく、屋根全体が常に湿気を帯びている状態になっている可能性があります。
カビやコケは見た目が悪くなるだけではなく、屋根材がもろくなり、ひび割れや雨漏りの原因にもなります。
カビやコケを発見したら、早急な洗浄や塗装を行いましょう。
色褪せする
屋根全体の色褪せは、紫外線による塗膜の劣化を示すサインです。
屋根の塗膜は、屋根材本体を紫外線や雨水から保護する重要な役割を担っています。
しかし30年という長い間、紫外線にさらされると顔料が分解され、徐々に色が薄くなります。
新築時と比べて屋根の色が全体的に白っぽく見える、あるいは艶がなくなっている状態が色褪せです。
色褪せはただ色が薄くなっているだけではなく、放置するとひび割れなどのより深刻な劣化につながる可能性があります。
ひび割れや欠けが発生する
スレート屋根のひび割れや欠けは、雨漏りに直結する劣化サインです。
塗膜が劣化したスレート材は、雨水の吸収と乾燥を繰り返すことで伸縮し、ひび割れやすくなります。
また、強風による飛来物の衝突なども原因のひとつです。
仮に細いひび割れであっても、その部分から雨水が浸入して下地にある防水シートを傷めてしまいます。
被害が拡大する前に専門業者による補修が必要です。
屋根材が反ったり剥がれたりする
屋根材の反りや剥がれは、劣化が進行している状態です。
スレート屋根は長年の間に水分を吸収し、乾燥する過程を繰り返すことで、木材のように変形します。
反りが大きくなると屋根材の間に隙間ができ、強風で剥がれやすくなります。
剥がれた箇所は下地がむき出しになり雨漏りのリスクが高くなるため、塗装では対応できません。
早急に業者へ連絡し屋根の状態に合わせた工事を行う必要があります。
棟板金が浮く
棟板金は屋根の頂点を覆い、雨水の浸入を防ぐ重要な部材です。
しかし多くは釘で固定されているため経年劣化によってゆるんだり、下地である木材が湿気で腐食したりして浮いてしまいます。
放置すると雨水が直接内部に浸入し、下地が腐食すると雨漏りにつながります。
棟板金の浮きを発見した場合は、被害が拡大する前に早急な修理が大切です。
スレート屋根をできるだけ長持ちさせるポイント

スレート屋根は定期点検や塗装によって長持ちする可能性があります。
長く安心して暮らすためにも参考にしてください。
定期点検を行う
スレート屋根を30年もたせるためには、定期的な専門業者による点検が重要です。
屋根の劣化は普段の生活では気づきにくく、自身で屋根に登って確認するのも危険です。
専門業者なら小さな劣化サインも見逃さず、屋根材や下地の状態を正確に診断できます。
劣化が軽微なうちに補修することで、大規模工事につながるのを防げます。
計画的な定期点検こそが、スレート屋根を30年維持するために必要です。
10年を目安に塗装を行う
スレート屋根の寿命を延ばすには、10年ごとの塗装メンテナンスが効果的です。
スレート屋根そのものには防水性がなく、表面の塗膜によって保護されています。
しかし塗膜は紫外線や雨風によって10年前後で劣化するため、定期的に塗り替えて防水機能を回復させることが大切です。
10年を目安に塗装を行うことで屋根材が水分を吸収するのを防ぎ、コケの発生やひび割れのリスクを軽減できます。
必要に応じて補修工事を行う
劣化が見つかった場合は先延ばしにせず、必要に応じて補修工事を行います。
小さなひび割れや屋根材のずれであっても、放置すると雨水が浸入し、下地材の腐食などより深刻な問題を引き起こす可能性があります。
台風で屋根材が1枚だけ割れた際の交換費用は、数万円程度ですむ場合がほとんどです。
しかし放置して雨漏りが始まると、修繕費用は大きく膨れ上がるおそれがあります。
早期の発見と迅速な補修が、スレート屋根を30年もたせ住宅の資産価値の維持につながります。
30年経ったスレート屋根のメンテナンス方法と費用相場

30年経ったスレート屋根のメンテナンス費用は、どのような工事を行うかによって異なります。
屋根の状態に合わせて適切なメンテナンスを行うことが大切です。
屋根塗装
屋根材や下地に大きな問題がない場合には塗装を行います。
ただし塗装はあくまで表面保護であり、30年経過した防水シートの寿命を延ばす効果はありません。
30年間メンテナンスをしていない屋根は、下地も屋根材も劣化が進んでいる可能性が高いといえます。
必要に応じてカバー工法や葺き替えを検討するのがおすすめです。
カバー工法
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい防水シートと屋根材を重ねて施工する方法です。
古い屋根材を撤去する必要がないため、工事期間が短く解体費用や廃材処分費を抑えられるメリットがあります。
屋根の下地に大きな問題はないものの、スレート材全体の劣化が激しく塗装では対応できない場合に適しています。
ただし、カバー工法は下地の補修までは行いません。
30年経った屋根は下地の劣化が進んでいる場合もあるため、次に解説する葺き替えのほうが適している可能性もあります。
葺き替え
葺き替えは、既存の屋根材をすべて撤去し、下地から新しくするメンテナンス方法です。
屋根の下地である野地板の状態まで直接確認し、必要であれば補修と交換ができます。
長年の雨漏りで天井にシミができているなど、屋根の下地まで劣化していることが疑われる場合におすすめです。
工事の際には下地から屋根材まで新品になるため、新築同様の耐久性と防水性を取り戻せます。
30年経ったスレート屋根で劣化が激しい場合は、葺き替えを検討してみてください。
定期的なメンテナンスでスレート屋根を30年維持しよう

スレート屋根を30年間良好な状態で維持するためには、計画的なメンテナンスが重要です。
屋根は紫外線や雨風による経年劣化が避けられません。
色褪せやコケなどの劣化サインを見逃し放置すると、屋根材本体がダメージを受け、雨漏りなど深刻なトラブルに発展する可能性があります。
スレート屋根は10年ごとの塗装で屋根材の寿命を延ばせます。
専門業者による定期的な点検と適切な時期にメンテナンスを行い、30年経っても健全な屋根を維持しましょう。




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