屋根塗装は30年もつ?放置するリスクと塗装を行うタイミングを解説
2025.12.15 (Mon) 更新

屋根の状態は自分で確認するのが難しく、最後の塗装から気づいたら30年経っていたという方も少なくありません。
そもそも屋根塗装は30年維持できるのか、メンテナンスしていなくても問題ないのか不安を抱えている方もいるでしょう。
屋根塗装の耐用年数は塗料にもよりますが、30年維持するのは困難です。
住宅の屋根を30年間メンテナンスしていない場合、見えないところで傷みが進んでいる可能性があります。
本記事ではなぜ屋根塗装が30年もたないのか、放置した場合に起こるリスクを解説します。
あわせて、30年維持するためのポイントと塗装すべきタイミングも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
一度の屋根塗装だけで30年維持するのは困難

屋根塗装は、最長の無機塗料を使用しても30年を維持するのは困難です。
塗料にはそれぞれ次のように耐用年数が定められています。
・シリコン塗料:4〜9年
・フッ素塗料:外壁塗装の12〜20年より2〜6年ほど短い
・無機塗料:外壁塗装の18〜20年より2〜6年ほど短い
※いずれも屋根に塗装した場合の耐用年数となります。
耐久性が高いとされるフッ素塗料や無機塗料でも、屋根に使用した場合の耐用年数は上記のとおりです。
一度の塗装で30年間維持するのは難しいため、定期的な塗り替えが住宅の寿命を延ばすことにつながります。
30年屋根塗装をしていないと現れる劣化サインとリスク

30年屋根塗装をしていないと、劣化やリスクが発生します。
劣化サインを見逃すと、住宅全体に悪影響を及ぼす可能性もあるため詳しく解説します。
ひび割れや剥がれの発生
30年間屋根を放置すると、塗膜のひび割れや剥がれが発生します。
塗装の表面は、長い間紫外線や雨風にさらされることで弾力をなくすからです。
硬くなった塗膜は、温度変化による屋根材の伸縮に追従できなくなり、ひびが入ります。
細かなひび割れだからといって放置すると、雨水が浸入し塗膜の浮きや剥がれを引き起こすおそれがあります。
カビ・コケ・藻の発生
30年経った屋根にはカビ・コケ・藻が生えてしまいます。
塗料がもつ水を弾く力や、カビなどを防ぐ力が失われ、屋根が常にジメジメと湿った状態になります。
とくに、日当たりの悪い北側の屋根に緑色のコケが多く生えている状態は危険です。
コケが根を張ることで、屋根材の中にまで水を染み込ませてしまい、屋根材がもろくなる可能性があります。
サビの発生
金属製の屋根を30年間塗装せずにいると、サビが発生して屋根に穴があくなど深刻なダメージにつながります。
塗膜が劣化して剥がれると、ガルバリウム鋼板などの金属の表面が露出します。
雨水や酸素に触れることで酸化し、サビが発生する仕組みです。
とくに、飛来物による傷や経年劣化で表面のメッキ層が傷つくと、サビは一気に広がります。
初期段階では小さなサビかもしれませんが、放置すると腐食が進行し最終的には屋根材に穴があいて直接的な雨漏りの原因になります。
屋根に穴があいてしまうと、塗装による補修はできません。
カバー工法や葺き替えなど、大規模な工事が必要になり費用も高くなってしまいます。
雨漏り
30年間手入れをしていない屋根は、雨漏りを引き起こす可能性が高くなります。
ひび割れや塗装の剥がれ、サビによる穴あきなど、さまざまな原因によって屋根の水を防ぐ力がなくなってしまうからです。
屋根材の下には、雨水の浸入を防ぐための防水シートが敷いてあるのが一般的です。
しかし30年メンテナンスをしていないと、防水シートも劣化している可能性が高いといえます。
屋根材の隙間から入った雨水が、古くなった防水シートに届くと、住宅の内側へと水が入ってしまいます。
雨漏りは、家の骨組みである柱や梁を腐らせてしまい、構造部分に悪影響を及ぼす危険なサインです。
屋根塗装をなるべく長く維持させる方法

屋根塗装をなるべく長持ちさせるためには、塗料選びや定期点検が重要です。
長い目で見て計画を立てる必要があります。
耐用年数の長い塗料を選ぶ
屋根を長期間保護するためには、できるだけ耐用年数の長い塗料を選ぶのがおすすめです。
塗料のグレードは、価格だけでなく耐久性にも直結します。
フッ素塗料や無機塗料といった高耐久な塗料は、一般的なシリコン塗料などに比べて初期費用が高くなる一方、塗り替えの回数を減らせます。
屋根塗装を30年維持したいと考えるなら、高耐久な塗料を選びましょう。
屋根塗装の実績が豊富な業者に依頼する
屋根を長持ちさせるには、屋根塗装の実績が豊富な専門業者へ依頼することが不可欠です。
業者の技術力によって塗装の仕上がりが大きく変わり、施工不良のリスクや塗装の寿命そのものが左右されます。
下地処理が不十分だったり、塗料の乾燥時間を守らなかったりすると、どんなによい塗料を使っても数年で剥がれてしまいます。
大切な屋根を長期間守るためには正しい知識と技術をもった、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
定期点検を受ける
屋根の状態は自分で確認するのが難しい部分です。
無理に登ると危険をともなうため、プロの目でチェックしてもらう必要があります。
専門業者なら普段見えない部分の劣化や、初期段階の不具合を発見できます。
30年後も安心して暮らすためにも、定期的に屋根の状態を把握しておくことがおすすめです。
【屋根材別】塗装を検討すべきタイミング

塗装を検討すべきタイミングは屋根材によって異なります。
屋根材にはそれぞれ特徴や耐用年数があるため、適切なタイミングで塗装を行うことが大切です。
スレート屋根
スレート屋根の塗装を検討すべきタイミングは10年です。
スレート屋根は、主成分がセメントであるため素材自体に防水性がなく、表面の塗装によって保護されています。
塗膜が劣化すると屋根材が水分を吸収し、ひび割れや反り、コケの発生などの劣化を引き起こします。
スレート屋根の耐用年数は15〜30年とされていますが、定期的な塗装は必須です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板の塗装は、10〜20年が目安です。
ガルバリウム鋼板は、サビに強く耐久性が高い金属屋根材です。
表面の塗膜が劣化すると色褪せが目立ち、傷がつくとサビが発生する可能性があります。
とくに、沿岸地域や工場地帯など、塩害や酸性雨の影響を受けやすい環境では、劣化の進行が早まる傾向です。
サビの進行により穴があいてしまうと、塗装では補修できず、カバー工法や葺き替えを行う必要があります。
耐用年数は20〜40年ですが、美観と性能を維持するためには定期的な塗装が大切です。
瓦屋根
瓦屋根は種類によってメンテナンス方法が異なります。
セメント瓦などは素材自体に防水性がないため、10〜15年を目安に塗装を行います。
瓦が水分を吸ってもろくなり、割れやすくなるからです。
粘土瓦は瓦自体に高い耐久性があるため、塗装による防水は必要ありません。
ただし、瓦と瓦の隙間を埋める漆喰は、経年でひび割れたり剥がれたりします。
漆喰が剥がれると、雨水が浸入して瓦のずれや雨漏りの原因になる場合があります。
漆喰の補修は15〜20年を目安にメンテナンスを行うのがおすすめです。
30年経過した屋根のメンテナンス方法と費用相場

30年経過した屋根はカバー工法や葺き替え、葺き直しのメンテナンスが必要です。
どのような工事をするかによって費用相場が異なるため、詳しく解説します。
カバー工法
カバー工法の費用相場は、約30坪の住宅の場合で80〜150万円です。
既存の屋根の上に新しい屋根材を被せる工事です。
古い屋根材を撤去する必要がないため、葺き替えに比べて工期が短く、解体費用や廃材処分費を抑えられるメリットがあります。
ただし、屋根の下地に深刻な腐食などがある場合は施工できません。
葺き替え
葺き替え工事の費用相場は、約30坪の住宅の場合で100〜200万円です。
葺き替えは、既存の屋根材をすべて撤去し、下地まで一新するメンテナンス方法です。
カバー工法では下地の補修まで行わないため、屋根材の下にある防水シートや野地板などの劣化がある場合は葺き替えが適しています。
葺き替えは下地の状態を確認し、必要であれば補修・交換したうえで新しい屋根材を設置します。
屋根の寿命をリセットし、住宅の資産価値を維持できる点がメリットです。
葺き直し
葺き直しの費用相場は、約30坪の住宅の場合70〜180万円です。
葺き直しは、主に瓦屋根で行われるメンテナンス方法です。
既存の瓦を一度取り外し、下地の防水シートや漆喰を補修・交換したあとに、同じ瓦を再度葺き直します。
瓦自体に劣化がなく再利用できる場合におすすめです。
葺き直しなら瓦の見た目はそのままに、屋根の防水性能を新築時同様に回復させられます。
葺き替えよりも費用を抑えられますが、瓦の状態が良好であることが条件です。
屋根塗装は30年放置せず正しいメンテナンスが必要

屋根は一度の塗装で30年間良好な状態を維持することは困難です。
塗料の寿命にあわせて、定期的な塗り替えが欠かせません。
もし30年間メンテナンスを行っていない場合は、塗装だけでは修理できず、カバー工法や葺き替えなどの大きな工事が必要になる可能性があります。
大切な住宅を長持ちさせるには、プロによる定期的な点検を受け、屋根の状態に適したメンテナンスが必要です。
まずは専門業者の点検を受け、屋根の状態を把握するのがおすすめです。




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